2013年4月11日木曜日

確信のちから


日本海側の港町を取材で歩いた。ある小さな食堂の入り口に、「旅人歓迎」と書かれた貼り紙を見つけた。旅の疲れを癒やそうと肩から荷を下ろし、そっと扉を開けたくなる……そんな心温まる文だ▼外の世界へとつながる大海原を見て毎日を暮らす、おおらかな人が書いたのかもしれない。そうした小さな出あいが、旅先の貴重な思い出になる。まして、見知らぬ土地で受けた恩ともなれば、忘れ得ぬ心の宝となろう▼一昨年の大震災直後、ある壮年が高齢の父と避難した。ところが途中、ガス欠で車が止まってしまう。雪降る外は氷点下。丈夫ではない父を守りたい一心で民家の扉をたたいた。「せめて、おやじだけでも助けてください」▼事情を察した家主が親子を招き入れた。2人は善意に感謝した。しばらくの間、お世話になり、元気を取り戻した父親が言った。「命拾いしました。お礼といっても大したことはできません」「でも、信心の話なら、いくらでもできます」▼仏法の話に興味深く耳を傾けていた家主夫妻と娘夫妻が、2年を経て、先月、入会した。良き出会いは、互いの人生を豊かにする。2組の夫婦は壮年親子との出会いを縁に、〝幸福への扉〟を開け、かなたに続く人生の旅へ力強く歩きだした。(代)